前回は、大学進学による上京に合わせて、僕は新たにSONYのMSX2+のパソコンを買った、というところまで書いた。それまで愛用していたNECのPC-8801mkIISRは弟のために、実家に置いてきたのである。
ちなみに、弟はその後、僕以上のパソコン愛好者となり、大学生の頃には何台もDOS/V機を自作をしていたようだ。まあ、僕はパソコンよりも、むしろ音楽や電子楽器を愛好していく方だったので、そもそも僕と弟とでは方向性が違うのだw
それは、大学卒業後、僕はゲーム会社へ就職し、弟はIT系企業に入社した、という経過をみても明らかなことである。何にせよ、PC-88を置いて行ったことは、弟に対して何かの役に立ったようだ。
(出典:「Generation MSX」)
さて、僕はMSX2+を使うことになった。ディスプレイとして利用したのは、TVである。
以前も書いたけれども、僕の家では、TVはいつも父が観ていたので、僕は普段あまり観なかった。むしろラジオや音楽をよく聴いていた。
ところが、一人暮らしになれば、誰にも邪魔されずに観られるだろう、と考えて、思い切って20インチのTVを買った。それを、四畳半の部屋にドーンと置いたのであるw
MSXパソコンは、PC-88ほど本格的な設計ではなかったので、ファミコンのようにTVに繋いで使うことも出来た。言い換えれば、半分はTVゲーム的な設計になっている、とも言える。
そこで、僕は一人暮らしの寂しさ(?)を紛らわすかのように、TVに繋いだMSX2+を使って、しばらくの間ゲームに没頭したのだ。ただし、MSX2+専用ゲームソフトはほとんど無かったので、多くはMSX2という、ひとつ前のモデル対応のソフトで遊んだ。ここでも、日本ファルコムである。やはり、『イースII』をプレイした。
このソフトもMSX2版だったので、MSX2+のウリであるFM音源が鳴っていない。残念な気がしたけれども、PSG音源というやや旧式の音源だけでも迫力のあるサウンドを聴かせてくれるのが、さすが日本ファルコムの技術力の高さというものである…。
(MSX2版『イースII』のオープニングムービー。是非、先達ての投稿に貼ったPC-8801版と見比べてみてほしい。PC-88よりも性能がだいぶ落ちるMSX2でも、かなり忠実に再現できていることに驚くだろう、と思う)
このゲームの他にも、コナミの麻雀ゲームとか、光栄(現コーエイ)の信長の野望シリーズとか、幾つかのゲームソフトを買って遊んだ。そこで、気付いたことがあった。やはり、TVをディスプレイとして使っていると、文字などが読みにくいということである。
それは、信長の野望のようなシミュレーションゲームをプレイしているときに顕著だった。画面の情報量が多いので、時として文字が小さいのだ。これをTVに映すと、滲んでいて上手く読めないのである。数字などを読み間違えると、ゲーム展開に差し障るのだった。
(MSX2版『信長の野望 戦国群雄伝』のプレイ動画。有難いことに、このソフトはFM音源を鳴らしてくれた。作曲は、あの菅野よう子さんだった)
そこで、僕は大学1年のときの夏休みに、運送会社の倉庫へ友達とアルバイトに行ったのである。暑い、重い、やたら喉が乾く、というキツイ仕事だったけれども、ある程度の纏ったお金にはなった。
そのお金で、SONYのパソコン専用ディスプレイを買ったのだ。ブラウン管はトリニトロンである。下の写真を見ると、定価はMSX2+本体とほぼ同じだったことに、いま気付いた…。僕が買ったときは確か、通販で2割引きくらいだったけれども。
(出典:「Generation MSX」)
その一方で、『イース』やコナミのゲームのようなアクション性の高いゲームをプレイする際には、キーボードで操作を行なっていたのでは、非常にプレイし難い。
そこで、この当時もずっと『マイコンBASICマガジン』の読者だった僕は、同じ電波新聞社から発売されていた、パソコンゲーム専用ジョイスティック「XE-1PRO」を購入した。堅牢な作りの、本格的なジョイスティックである。(トップの写真をご参照)
このXE-1PROは、この後、別のパソコンでも使い続けることが出来た。だから、こうして今でも手元にあるのだ。
しかし、このMSX2+パソコンを2年ほど使っていると、段々物足りなくなってきたのである。休みのときなどに帰省をすると、僕は実家のPC-8801mkIISRに再会することになる。すると、どうしても、アタマの頭の中で、PC-88とMSX2+との性能比較が生じてしまう。
もっと高性能なパソコンを使いたい…そう思い始めたときに、ある16ビットパソコンが僕の脳裏を掠めたのである…。(つづく)
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前回ご紹介した『パソコン・レクチャー』は、2巻からつぐみさんがメインキャラクターになります。当時のベーマガ読者の中には、このつぐみさんファンが多かったのではないでしょうか?これまた、懐かしいです…。
くりひろし著『パソコン・レクチャー(2)』
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