本日は、夜明け前から雨降りだ。そのせいか、肌寒いのである。
僕は今朝、掛け布団の中で寝ていた。すると、うちのねこがその布団へと潜り込んで来る。布団の中はあたたかいということを知っているのだ。でも、息が詰まってしまわないだろうか、と思う。
すると、今度は布団から出て来て、僕の枕の上に載る。下半身は、布団の中に入ったままだ。実は、この状態が僕にとっては至福なのである。
枕の上のねこが、僕の頬に当たるからだ。ねこ毛のふわっとした感触が、実に心地よい。嗚呼、ねこという生き物は、何もかもがやわらかい。(硬いのは、骨だけである)
ただ気になるのは、トクトクトク…と聞こえて来る心臓の鼓動である。人間のそれよりも、ねこは遥かに速いようだ。凡ゆる生き物は、鼓動の上限が一定の数で予め決まっている、という説があるらしい。
そんなに速く打ったら、その分だけ上限が早く来てしまうのではないか。ねこの心音を聞くたびに、そんなことを思うのである。僕は、ねこに頬ずりをしながら、やがて夢から現つとなり、起床時刻を迎えるのであった…。
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先日の午前中、娘と図書館に行った。そこで何冊かの本と、3枚のCDやDVDを借りた。トップの写真は、そのCDとDVDだ。
CDは、坂本龍一の10年前の米映画のサントラがひとつ。『silk』という映画だ。僕は、この映画は未見だけれども(どうも、巷での評価が芳しくないので)、音楽はYouTubeでたまに聴いていた。
最近、この『silk』の音楽に付けられている音響が、『async』や、同じく坂本龍一が音楽を担当した『レヴェナント』のそれと共通しているもののように感じられたので、改めてCDで確認すべく借りてみた。
YouTubeの音質は、当然のことながら、CDで聴くことの出来るものよりも、だいぶ低い。所謂、圧縮音声だからである。まあ、日常的に(BGMとして)流して聴くぶんには別に困らない音質だけれども、音色や音響を細かく確認するのには全く不向きだ。
そんなことを考えながら、このCDを聴いてみると、やはり『async』の音楽に付けられていた、あの特徴的な残響の、謂わば初めの頃の形が聴こえてきた。逆に言えば、坂本龍一のサウンドは10年前から、こうして進化をして『async』に至ったのである。
時として、作品とは、その時系列を反対に辿っていくことで見えてきたり、聴こえてきたりする場合があるのだろう。その当時に意味の分からなかったことも、現在から遡っていけば分かるようになることもある。
そんな風にして、坂本龍一の作品については、暫く『async』のサウンドの源を辿るような聴き方をして行ってみたいと、この『silk』のサントラを聴いて思うのであった…。
そして、もうひとつは、僕にとってある種の定番である、ラフマニノフ『交響曲第2番』だ。指揮は、あのワレリー・ゲルギエフである。
ゲルギエフのラフ2は、先達てNHK-FMで聴いて、パートを時には際立たせるような演奏に、なるほど…と思い、これも改めて聴くべく借りた。
僕の聴き慣れたプレヴィンとはまた少々違う解釈で、これも実に巧みな演奏で良いのではないか。CDで改めて聴いてみると、先達てラジオで聴いたときとは違った、そんな感想を持った。また何回か聴いてみよう、と思う。
さて、今回図書館で借りたDVDは、40数年前のロシアの作品で、チャイコフスキーの伝記映画なのである。その名も『チャイコフスキー』。そのまんまだ…。
これは、どうも結構な名作らしいので、観るのをずっと楽しみにしていた。図書館で順番待ちになっていたために、2週間ほど待っていたのである。早速日曜日のうちに全部観てしまいたかったのだけれども、バタバタしているうちに夜になってしまった。
(DVDパッケージの裏面)
そんなわけで、寝る前に、1時間弱ほど観ることが出来たのである。
ケースを開けてみて、このDVDが2枚組だったことに、まず驚いた。図書館の所蔵品ではめったにないことだ。全体では、約140分の長さだ。これを、片面2層のDVDを2枚使って収録している。
例えば、『アマデウス』はディレクターズカットが3時間もの長さだけれども、同じく片面2層のDVDが1枚で済んでいる。何故、この『チャイコフスキー』が2枚になってしまったのか、少々謎である。単に、それぞれの発売元のエンコード技術の違いだろうか?
まあ、そんなことは置いといてw、この『チャイコフスキー』。初めの方を観ただけで、頗る面白い映画であることに気づいた。1970年公開作だそうだけれども、画面を観ても余り古くは感じない。
建物などの背景や、それらの色彩も含めて実に綺麗に作られている。重厚でさえある。また音楽は、チャイコフスキーそのままなので、豪華そのものである。サラウンドも、よく効いている。(でも、これもエンコードのせいか、音質が如何にも圧縮音声的で、楽器の音が余り良くないのが少々残念…)
上の写真は、ピアノ協奏曲第1番の作曲途上の一場面。初演を予定していたピアニストから、書き直しをアドバイスされるという、有名なエピソードである。
このように、史実に基づいて物語が作られているのだ。ちなみに、「ペーチャ」というのは、チャイコフスキーのファーストネームの愛称。
まだ半分弱を観ただけなのだけれども、この先も十分に期待できる映画である。
以前の投稿で、タルコフスキーについて書いたことがあった。きっとソ連時代の映画は、案外(…と言ったら悪いけれども)良作が揃っているものなのだ、という気がしている。
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この映画『チャイコフスキー』のDVDは、前回の投稿の最後でもご紹介しましたが、下は、同じ作品の別のDVDです。発売日を参照した限りでは、下のDVDの方が比較的最近のようですが、音声や特典映像などの仕様が同一なのかということまでは、よく分かりません…。
イーゴリ・タランキン 監督『チャイコフスキー』(DVD)
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