この作品はまさしく宇宙の一部。探査機に捧げて作られた、ヴァンゲリスの音楽を聴くのだ…

その他

きょうも、何か不思議な夢を見た気がするのだ…。断片的にだけれども、少し覚えている。

僕は、その夢の中で、倉庫のような場所で働いていた。二階建ての大きな建物である。その中には、出荷前の様々な種類の商品が保管されていた。流通業の倉庫なのだろう。
実際のところ、細かなストーリーは、次々に展開していった所為もあって、余りよく覚えていない。でも、僕が以前勤めていた会社の人たちが何人か登場していた。この倉庫で一緒に仕事をしているところだったのである。

その中にKさんという人がいた。僕の勤めていた会社では当時、営業の係長で僕より一回りくらいだっただろうか、年上であった。実に仕事のできる良い人であったけれども、社内で色々あって、僕よりも何年か先に会社を辞めた。
後になって誰かから聞いた話によると、退職してから間もなく、心臓の病気になって倒れたのだそうである。多分、在職中の激務が祟ったのかも知れない。それからは、仕事が殆ど出来なくなってしまったようだ。

Kさんが担当していた取引先の会社が、ある商品の売り上げの一部をKさん経由として計上するようになった、という話も耳にした。つまり、その会社が間接的にKさんの家計を支援しようとしたのだろう、と思う。
それがいつまで続いたのかということも、その後のKさんについても、もう僕は分からなくなった。僕がその会社を辞めてしまったからである。そのKさんが、今回の夢に登場したのだ。

但し、登場したといっても、姿は見せず、声だけの出演のようなものだ。倉庫の中のカウンターのような場所に、Kさんからの書き置きが用意してあったのである。
そこには、小さな網に入った、トウモロコシの種子が何粒もあって、図入りの説明も付されていた。それを読むと、「通常は3つ遺伝子を変えるところを、ひとつだけにしてあるので安全性が高まっています」といった文言が書かれていた。

その書き置きは、せっかくKさんの声がオーバラップして内容が聞こえて来たのに、今はもうすっかり忘れてしまった。「皆さん、これを蒔いてみて下さい」というような内容だった気がするのだけれども…。
その辺りまで夢を見たところで、物音を聞いて僕は目を覚ましてしまったのである。今は何処でどうしているのだろうか、懐かしいKさんの(声だけとはいえ)登場した夢だった。


トップの写真は、一昨日に漸く届いたCD。Amazonを通じて、英国から取り寄せた。例によって、到着予定日より遅れて着いたのだった。ちなみに、先達てご紹介した、最新のピアノアルバムではなくて、その前作なのである。
『Rosetta』(CD, Import)

このアルバムは、アルバムと同名の「ロゼッタ」という宇宙探査機のために作られた作品なのだそうだ。映画など何かの映像作品等のために制作されたのではなく、ひとつの宇宙機に捧げられて作られたというのがユニークだと思う。
ロゼッタは、2004年3月に打ち上げられ、2016年9月にその使命を終えた。このCDも、下の写真(Wikipediaの画面を撮影)のように、同年の9月23日にリリースされているのだ。きっと、その発売タイミングを意図して合わせたのだろうと思う。

写真は、CDの紙ケース内側に印刷されている、探査機ロゼッタの日程表の一部。上のように、英語で「通常ミッションの終了 2016年9月」と最後の行に書いてある。

このCDをプレーヤーにかけて再生すると、1曲目のはじめの方で「ドーーン」という深い響きの衝撃音が聞こえてくる。映画『ブレードランナー』の冒頭で聞くことの出来るあの「ドーーン」を想起させるのだ。
曲調は、はじめのうちは、それこそ『ブレードランナー』風の音色が出て来たりなど、ヴァンゲリスの様々なサントラを思い起こさせる。そのうちに、『反射率0.39』のような過去のオリジナルアルバムを彷彿とさせる音楽へと変化していくのである。

全体として実に壮大な楽想を持ちながらも、そのような既存の楽曲の大きな延長線上にある作品と言って良いだろう。
ヴァンゲリスの音楽は、大宇宙そのものがそうであるように、個々が何ものかの力によって見えないところで繋がっている、ひとつの纏まった有機体であるのだろうと感じさせるのである。

ライナーノーツの中に、ヴァンゲリスに関する興味深いエピソードの記述があった。僕の私訳を以って、今回の投稿を締めくくりたいと思う…。上の写真は、その原文である。

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ヴァンゲリスにとって、音楽とは宇宙という、混沌を調和に変える不可欠にして不可侵の力なのだ。その使命は、人類を向上させ、鼓舞して癒すということにある。
「私が3歳か4歳だった頃、家にあるピアノを弾いていたとき、『その音楽はどこから来ているのかい』と私に尋ねてくる人がいたものだ。私は、天を指差して言った。『上の方からだよ』と」
このエピソードは、まさしく今日に至るまでヴァンゲリスが宇宙に対して持っている、途方もない関心や献身的とも言える愛情を証明しているのである。(私訳)
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下のリンクが、今週発売になるCDです。こちらの方も楽しみ。何せ、ヴァンゲリス初のピアノアルバムなのですから…。この作品もまた、ヴァンゲリスの宇宙世界を大いに示したものとなるのでしょう。

『Nocturne -Piano Album』(CD, Import)
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