佐藤優vs灘高生…という本

読書・図書館

僕は、図書館を割とよく利用する方だと思う。常時、15~20冊くらいの本を借りている。
住んでいる市の図書館だけでは、いろいろと間に合わず、県立図書館や、近隣の市立図書館なども利用する。更に周辺の図書館まで足を伸ばして借りに行くこともあるので、図書館の利用者カードは、それらを含めると全部で10枚くらい所有している。

図書館の本は、大抵、透明のフィルムのようなものでコーティングされている。
ある市では、ほぼ必ずと言って良いほどに、購入したときに付いてくる帯も、本と一緒にコーティングしてある。これは、本を買ったら帯を捨てずに取っておくのが習慣になっている僕にとっては、実に嬉しいことだ。帯に印刷されている内容もまた、貴重な情報源だからである。

上の写真の、佐藤優著『君たちが知っておくべきこと』という本の帯が、良い例だ。
この本では、佐藤氏が、灘高校の生徒たちを仕事場に招いて、世界を舞台に活躍するエリートが持つべき教養や常識とはどういったことか、ということについて講義をしている。
そして、その中では、佐藤氏と生徒たちとのやりとりが、ひたすら会話体で書いてあるだけである。地の文が殆どないので、どのようなスタイルでその講義が行われたのか、ということが、読者には伺い知ることが出来ない。

しかし、この本の帯を見れば、それは一目瞭然だ。つまり、大学のゼミ形式なのである。これは、講師と学生との距離が、膝を詰めたように極めて近い、ということを意味している。この本の読者は、まずこのことを念頭に読む必要があると思う。(版元のS社は、帯だけでなく、巻頭口絵にもこの写真を入れておくべきだったろうに…)

このように、帯に印刷されている内容は、その本の背景を知る上での必要な情報となり得るので、案外と帯はぞんざいに扱うことが出来ないものなのである。
可能ならば、他の数多の図書館も、この姿勢を見習って欲しいくらいなのだ。実のところ、蔵書も利用者も比較的少なく、割と暇そうな(?)、その市の図書館だから出来た、と言えるのかも知れないけれども。(…ゴメンw)

さて、この『君たちが知っておくべきこと』は、佐藤優氏らしい、実に興味深い内容の本である。
この中では、佐藤氏が次から次へと、政治思想史やその周辺の科学史、宗教史などを縦横無尽に語りに語る。そして、問われたことに対し即座に応答出来る、灘高校の生徒たちが、これまた実に素晴らしい。

例えば、佐藤氏が、ある書籍の記述を引き合いに出して、「『15世紀のスフやサヴォナローラ』と書いてあるけれど、この『スフ』って誰?」と(…ちょっとカマをかけるようにして)訊く。すると、「フスのことでしょうか」とか「フスはチェコの人です」とか、答える生徒たち。
これは勿論、「スフ」ではなく、中世カトリックの宗教家、ヤン・「フス」のことなのである。ヤン・フスは、一般にはそれほど(例えば、ルターやカルバンやウェスレー程には)知られている名前ではないように思うのだけれども、どうでしょうか?
一介の高校生がヤン・フスを知っていて、その名前が即座に出てくるとは、驚きである。流石、恐るべし、灘高!

佐藤氏がエリートの教養を(…知識だけではなく、考え方や行動の仕方までも)語る、この本。抜群に面白い。しかも、会話体で読みやすい。お薦めの一冊です。

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その後、僕は、図書館で借りるだけでは飽き足らず、結局買いましたw (あれ、下のサムネイルにも、帯が写っていない。ダメだなぁ…w)

佐藤優『君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話』
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