『銀河鉄道の父』を読み終わり、台風の中を音楽会に行き、それから投票へと臨み…

お出かけ

今日は、予てから書いていたように、音楽会に出掛け、その足で図書館にも行き、帰りには投票も済ませてきた。この台風に中をである。まさか、こんな天気になるとは、一週間くらい前には思わなかったことである。

そして、昨夜は、ここのところずっと読んでいた、『銀河鉄道の父』を読み終えた。
この本は、宮沢賢治の伝記風の小説である。主に賢治の父、政次郎の視点で書かれている。だから、『銀河鉄道の』という訳なのだろう。

ストーリーは、賢治の幼少期をはじめ、宮沢家の系譜や質屋という家業についても、詳しく記していきながら進行していく。特に、賢治と父親との関係性や、妹トシとの兄妹愛など、家族の物語でもあるのだ。
賢治の父は、学業成績優秀で進学を希望する賢治と、家業を継がせたいという親としての思い(「質屋に学業は必要ねえ」という家訓(?)があったのだ…)に、常に板挟みになってしまう。

また、賢治の父は、普段は家長として厳しい男親の立場で子供たちに接しているのだけれども、一旦、賢治が病に倒れると(これが一度や二度ではなかった…)、寝ずの看病をするという、謂わば「甘い父親」になってしまう。
この当時、「病人の世話は女の仕事」という認識だったのだそうだ。それにも拘らず、賢治の父は、病に倒れる賢治を毎回、世話し続けたのである。この、厳しくも甘い、父と子の関係がこの物語の太い通奏低音になっている。

加えて、賢治の人生を語る上では欠かせない、妹トシの存在である。賢治は、トシにインスパイアされ、トシに促されるようにして、詩や童話の創作に打ち込んで行く。
つまり、トシの生と死が、賢治の創作の光と影になっていくのである。これは、父親の存在が低音部だとするならば、トシは、その上を飾り、流れ行く高音部である。

有り体な言い方だけれども、この『銀河鉄道の父』を読んで、一層、宮沢賢治に対する理解が増した、と思う。人物伝等を読むのとはまた違う、宮沢家に肉迫した形で、である。
何と言っても、この物語の中で、台詞にいつも登場する東北弁が良い。「んだども、おらが…」のような言葉で賢治やトシや、他の親兄弟たちが喋るのである。何とも微笑ましく、親しみを感じさせる。

是非とも、この物語を、この雰囲気のまま、誰かが何処かで映画化(実写でもアニメでも良いので…)して欲しい。そのためにも、多くの人たちに手に取って読んでいただければ、と思うのである。


さて、今日は、お昼頃に家を出発して、雨の中を車ではるばる、音楽会に行ってきたのである。

お目当は、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲である。コルンゴルトは、我々が現在よく耳にする、ハリウッド映画の劇中音楽のスタイルを創始した人物といってもいい作曲家である。
よって、このヴァイオリン協奏曲も、一聴して、ジョン・ウィリアムスあたりの音楽のように聞こえてくるのだけれども、それは話が逆で、ジョン・ウィリアムスがコルンゴルトの様式を引き継いでいるという訳なのだ。

実は、僕にはもう、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲の定番の演奏がある。ヒラリー・ハーンである。これ以外の演奏は考えられない、と言っても良いくらいだ。

YouTubeでは、ヒラリー・ハーンが弾く、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を全楽章、視聴することが出来る。上の動画は、第1楽章。この協奏曲は、第1楽章と、特に第3楽章が凄い。
YouTubeで何度も視聴した後、僕は結局、この演奏が収録されているDVDを買った。『ヒラリー・ハーン ポートレート』である(後述)。コルンゴルトの他に、ドキュメンタリーやモーツァルトのヴァイオリン・ソナタやが収録されている、お買い得盤だと思う。

勿論、僕が今回聴きに行った奏者は、ヒラリーハーンではない。日本人の男性ヴァイオリニストである。でも、生でコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を聴くことのできる良い機会だと思い、出掛けたのだ。
ヒラリー・ハーンは、上の動画をご覧の通り、完全に暗譜でこの難曲を弾いている。一方、今回のソリストは、目の前に譜面を立てて弾いていた…。

僕は、ソリストたるものは、暗譜で演奏会に臨むべきだと思う。この辺りの何処かの国出身の(日本ではない)女性ピアニストで、やたら露出の多い衣装で演奏する御仁がいらっしゃるけれども、その方も大抵は、演奏会でピアノに譜面を立てて弾く。
せめて、曲を覚えるまでに弾き込んで練習し、全ての音符を自らの内に血肉のように叩き込んでから、ステージに上がるべきではなかろうか、と思う。台本片手に演技をする舞台俳優は、いないだろうに。それと同じことである。

まあ、でもそのヴァイオリニストが今回のアンコールで弾いた、ヴァイオリン独奏(シャコンヌか何かだったのだろうか…)の方は、とても良かった。そちらは暗譜で弾いたのである。音大の教授もなさっているそうなので、多分、学生にお手本としてよく弾く曲なのだろう。

あとは、休憩後の後半に演奏された、レスピーギの『ローマの祭り』が大変に印象深かった。僕はCDでしか、この曲を聴いたことがない。音楽会では初めてなのである。

驚いたのは、曲の最初の方で、3人のトランペット奏者が、2階の客席(サイドの席)から登場し、ファンファーレを吹いていたことだ。
僕は今回、敢えてステージ前ではなく、2階のサイドの席(トランペット奏者とは反対側)に座った。そのために、このファンファーレと、下から聴こえるオーケストラの音の混ざり具合が非常に良かった。音響でも楽しませて貰ったのである。

また、この『ローマの祭り』は、打楽器奏者だけで、何と10人も要するのだ。これも、CDを聴いていたのでは分からなかったことだ。何せ祭りの曲なので、フィナーレ近くでは、文字通り「お祭り騒ぎ」だ。そこで打楽器を10台同時に使うのであるw

…というわけで、色々楽しませて貰った音楽会であった。雨の中を出掛けた甲斐があったというものである。そんな余韻を以って、帰りには図書館に寄り、学校の体育館での投票に臨んだのであった。ようやく家に帰り着くと、もう真っ暗なのであった。

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ヒラリーハーンが演奏する、コルンゴルトのヴァイオリン独奏曲が視聴できるDVDは、これです。この曲は、この演奏が決定版でしょう。ちなみに、この曲の指揮は、ケント・ナガノ、オケは、ベルリン・ドイツ交響楽団です。

ヒラリー・ハーン『ポートレート』(DVD)
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