スイス政府の『民間防衛』、これはひとりひとりが考えるための、謂わば教科書だ…

読書・図書館

先日、見慣れない郵便物が届いていた。B5サイズくらいの大きさの割と薄い箱である。

これを見た当初は、ネットで注文しておいた『銀河鉄道の夜』のBlu-ray(こちらの投稿をご参照)が届いたのか、と思ったのだけれども、箱の下の方に書いてある発送元を見るとどうも違う。

「保険の…」とあるのを見て、思い出した。自動車保険の見積もりなのである。
僕はいつも、うちの車の任意保険が切れる前には、ネット上の比較見積もりサイトを利用する。自動車保険各社が提示する金額を確認しておくためである。毎年のことだ。

すると、図書カードなどの景品があとで送られてくる。でも、今年は、それがお米だったようだ。なるほど、金券類の提供を多分、もうやめたのだろう。
お米の袋には、「魚沼産こしひかり」「新米」と書いてある。これは如何にも美味しそうである。見た感じでは3合くらいしかなさそうだけれども、そのうち皆んなで賞味することにしよう。ちょっと楽しみw


さて、こちらも、先日届いた。『民間防衛』という本である。『銀河鉄道の父』と一緒に注文しておいたのだ。(『銀河鉄道の父』についての投稿は、こちら

『民間防衛』は、数年前になるけれども一度、図書館で借りて読んだことがある。そのときにも、この本は買って手元に置いておかなければ、と思った。でも、そのままになっていた。
しかし、先達て、「憲法9条を改正したほうが戦争を防げる」という、ネット上にアップされた短い漫画に関する記事を読んで、やはり是非とも買っておなければならないだろう、と考えたのである。(そちらに関しての投稿は、こちら

トップの写真が、その『民間防衛』だ。表紙には、「スイス政府編」とある。赤い装丁。これは、スイスの国旗の色ということもあるし、危機感を表現しているのだとも考えられるだろう。新書サイズのハンディなサイズである。

この本は、主に戦時における、身の守り方などの指針を示して解説をしている。文章量はなかなか多く、読むところは多い。但し、重要な点については、イラストやチャートを用いて視覚的にも理解できるよう工夫されている。
そういったイラストが、この本が制作された年代を反映しているのだろう、レトロ調なのである。僕などにとっては、幼少の頃、何かの説明書やパンフレット類で見かけたことがあるような画風だ。懐かしさを覚えてしまう。

しかし、そんな感慨に浸ってもいられない…。本書の本文は、危機感に満ちているのだ。スイス連邦法務警察長官による「まえがき」には、このように記されている。

… 民間国土防衛は、まず意識に目覚めることから始まります。われわれは生き抜くことを望むのかどうか。われわれは、財産の基本たる自由と独立を守ることを望むのかどうか。…(P.6)

常に問題意識を持ち、目覚め、考えることが求められている。本書の冒頭から数十ページに渡っては、小見出しや本文の中に、「考える」という言葉がしばしば登場するのである。

我々は、国や自らの身を守るためには、常時思考するということが求められているのだろう。『民間防衛』では、まずそういったスタンスが提示されている。
よって、本書は、単なる手引きやマニュアルではないのである。我々が考えるために必要な、礎となる情報を与えるためにある、と考えた方がいいと思う。

この本に書かれている内容を土台にして、更に思考を深めていくのだ。何故ならば、危機的な状況とは、マニュアル通りに訪れるわけではないからである。
しかしながら、人というものは、多くの場合、考えるのを億劫がる嫌いがある。だから、TVなどの安易なメディアで自堕落な時間を過ごす方へと流れて行きがちになるのだろう。

この国に浸透し工作を図ろうとする者たちは、そこに漬け込むのだ。「考えない」ということは、彼らにとっては実に都合のいいことなのである。
そのためであろう、『民間防衛』の冒頭では、まず「考える」ということを読む者に求めてくるのだ。つまり、考えるということが、防衛のひとつなのである。

一方で、我々は、常に考えているだろうか?TVやスマホばかり見ていて、自分のアタマで考えることを放棄していやしないだろうか?我々が馬鹿になればなる程に、それが好都合となる者たちが存在するのである…。

さて、この『民間防衛』は当然のことながら、翻訳書である。日本語訳を担当したのは、「原書房編集部」。原書房は、本書日本語版の発行元だ。そして、本書の最後には、「訳者あとがき」がある。そこには、こう書かれている。

… まず第一に、真に平和を望むものは、平和を守るための努力を惜しんでならないということである。単なるスローガンで平和を守ることは不可能である。…(P.315 – 316)

これが何を意味するのか、我々は既に分かっている筈である。「単なるスローガン」で恒久的に平和が維持できるという具合に、思考が停止してはいないだろうか、と思うのだ。いや、それで良いわけがない。

目下、我々の国やその周辺が、焦眉の急にある中で、ひとりひとりが何を考えて、どう行動できるのか…そのことがこれまで以上に求められてくるのだろう。
『民間防衛』は、スイスという、遥か遠くの国で編纂された書籍である。しかし、本書の持つ内容は、どの国においても普遍的に適用できると思う。是非とも、多くの人たちに、本書を手にとって頂きたい。

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スイス政府 編著『民間防衛ーあらゆる危険から身をまもる』
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