映画のビデオ(VHS)を、実に久し振りに買った。それは、『ジェレミー』という作品なのだ…

映画・漫画

ここ数年、上野の東京国立博物館では毎年一度、本館前で「野外シネマ」という映画の上映会が行われている。このブログでも、以前取り上げたことがあると思う。

一昨年は、新海誠監督の『秒速5センチメートル』が上映された。この作品は、夜の場面が割と多いので、星空の下で観るのは格別だったという記憶がある。
上映終了後、この会の主催者の方だっただろうか、閉会のコメントのようなものがあった。スクリーンの前に出てこられて、挨拶をされたのである。

僕は、この『秒速5センチメートル』が、新海監督作品の中でいちばん好きなので、この映画の上映を決めて下さった方がどんなことを仰るのだろうと、帰り支度で幾分騒がしい中、聞き耳を立てて聞いていた。
そのコメントでは、星の下でこの作品の美しい夜空の場面を観るのは良かったでしょう等、僕と同じような感想を述べておられた。そして、最後に、この作品がお好きな方は必ず観てみて下さいと、ある映画のタイトルを挙げていたのである。

それは、『ジェレミー』と言っていた。米国の昔の映画です、とも。僕は、このように題名や名前をひとつだけ聞いても、あとで思い出せなくなることがある。ふとしたことで、すっかり忘れてしまうのだ。
だから、別の何かに関連させて憶えて帰った。英国の映画プロデューサーに、ジェレミー・トーマスという人がいる。映画『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』の製作者なのである。

いずれもジャンルが映画という点では同じなので、引っ掛けて覚えるには、うってつけだったのだ(…僕にとっては)。
例えば、一緒に観に行ったかみさんが帰り道に、「あの人が最後に言っていた映画、何だったっけ?ジェニー?」とか言っていたのだけれども、僕は「違う違う。ジェレミー」と、すかさず訂正できた程だw

帰宅後、『ジェレミー』で色々検索をしてみた。もう40年以上も前の映画であること、DVD版はかつて発売されるも既に品切れ中でプレミアム価格が付いていること、近辺の図書館には所蔵がなく、レンタルビデオ店にも置いていないこと等。
DVDが殆ど入手不可能な状態であるのは痛恨だった。Blu-rayでは発売されていないので、どちらかと言えばマイナーな作品なのかも知れない。でも、根強いファンがいるのだろう、Amazonには熱いレビューが数多く書き込まれている。


『ジェレミー』(DVD)

然しながら、未見で且つ内容がまだよく分からない作品に、1万円以上も僕はちょっと出せない…。どうにかして、これよりも安価で観ることは出来ないものか、と思案した。
そう思っている内に、1年以上が過ぎてしまった。相変わらず、DVD版入手の途は無い。しかし、最近、あるモノを復活させたのだ。そうである、VHSのビデオデッキだ。

ビデオテープ版の映画作品は、ネットオークションなどで、中古が今でも入手可能である。余り買い手がいないので、値段が釣り上がることが少ない。ただし、上手くタイミング良く売りに出てこなければ、当然手に入らないのだけれども。
先達てVHSのビデオデッキを再び使い始めて以来、この『ジェレミー』をDVD版ではなく、ビデオテープ版で探すことにした。すると、程なくして見つかったのである。

値段も、それほど高くはない。すっかりプレミアムと化したDVD版の10分の1とまではいかないけれども、数分の1くらいである。しかし、それよりも何よりも、この機会を逃したら、またのチャンスはいつ訪れることか。
そう考えて、そのVHS版の『ジェレミー』を買うことにしたのだ。それが、先日届いた。トップの写真が、そのパッケージである。ケースは新しいものに替えたようで、中のジャケットとやや寸法が合っていないw

下の写真は、ジャケットの反対側。あらすじやスタッフ・キャスト名などが書いてある。僕は、観終わってから、このあらすじを読んだのだけれども、これは殆どネタバレレベルの説明である。未見の方は決して読まないように(苦笑。

ケースの中身は、こちら。勿論、VHSのビデオカセットである。そうそう、ワーナーは、このように、開閉部分が色違い(黒ではなく青色)で出来ていたのだ。この部分が赤色のビデオカセットも、何かで見たことがある。こういうの、懐かしいなあ…。

さて、肝心の映画の内容は…と言うと、もう純粋も純粋。とにかくピュア…この一言に尽きると思う。余り説明すると、それこそネタバレになってしまうのだけれども…。
旧いラブストーリーの映画に多分ありがちな、クサさというものが全く無い作品なのである。劇中に、主人公のおふたりが拙く(…ゴメン)歌う挿入歌が、何曲か流れてくる。これまた、儚くも微笑ましいのである…。

僕は、この映画のストーリーと、『秒速5センチメートル』のそれとの間に、ある共通点が存在するということに気づいた。まあ、これは誰でも気付くことだ。ただし、これまたネタバレレベルである故、説明は自粛…。
物語があんまりにもピュアであることも含め、これは『秒速5センチメートル』の下敷きのひとつになった作品であろう、と想像する。きっと新海誠監督は、この『ジェレミー』を観たことがあるのだと思う。

そして、この作品を観て受けた感銘を、新海監督は『秒速5センチメートル』の物語の中へと、幾つかある錦糸のひとつとして織り込み、紡いでいったのだ。
多分、「野外シネマ」であのとき最後に登壇された方は、我々観衆に、そのようなことをメッセージとして伝えたかったのかも知れない。ただ、時間の都合もあって、詳しくは説明できなかったのだろう。

『秒速5センチメートル』ファンの方は、もし可能であれば、この『ジェレミー』を観ておくことを、僕からも是非お勧めしたいと思います。主人公のジェレミーとスーザン、ふたりのその後は…?
その新海誠監督的な解釈による応答が、ひょっとすると『秒速5センチメートル』の「貴樹と明里」というかたちで昇華して表現されたのかも知れない。どうも僕には、そんな気がしてならないのです…。

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ジェレミーならぬ、ジェニーといえば、これ。『ジェニーの肖像』です。『ジェレミー』よりも更に25年も昔の映画だけれども、これまた切なく儚い物語。こちらは、DVDが再々発売されております…。

『ジェニーの肖像』(DVD)
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