お名前と声だけは耳にしていたことのある、あの作曲家のCDを聴いた。いやあ、心が洗われる実に良い音楽なのだ…

その他

先日、晩ご飯に鮭のムニエルを作ってみた。初めてのことである。

その前の日だっただろうか、図書館の帰りがけに魚屋へ立ち寄って、鮭の切り身を買って帰ったことがあった。それを翌日、焼いて食べてみたところ、娘が美味しかったと気に入った様子だったので、また図書館のついでに買ったのだった。
また焼くのだけでは芸(?)がないので、ムニエルにしたという訳である。まあ、ムニエルも結局、焼いているのだけれどもw

あとは、鶏ガラ仕立ての野菜スープも作った。いずれも、娘に好評であった。特にムニエルに関しては「週に一度はまた作って欲しい」と、いたく気に入ったようである。では、この鮭が売られていたら、そのうちにまた作ってみようかの。

さて、トップの写真は、かみさんが何処かから買ってきたお菓子。何と、ミルフィーユの端っこの部分だけを切り落としてパックにしたものらしいのだ。
僕は、トンカツでも羊羹でも端っこが好きである。ミルフィーユの端っこは生クリームが溢れていて如何にも美味しそう。コーヒーのアテに3つも食べてしまって、昼食が要らないほどだったw


どうも最近は天気予報があてにならない気がする。きのうなぞ、昼間から夜中までずっと曇りの予報だった筈なのに、都内の仕事の帰りは雨降りだった。午後11時半頃のことであった。
もう、潔く濡れて帰る他なかった。折りたたみの傘をバッグに忍ばせておけば良いのだけれども、そんな枝葉末節の用件を僕は覚えていられないのだw

さて、日中その仕事に向かうときに、ねこを見かけた。モフモフした毛と白黒模様の2匹だ。僕からちょっと距離を開けつつ平行に歩いてついて来る。
きっと、美味しいものが欲しいのだろう、と思ってちゅーるを垂らしてみると、あっという間にペロペロ舐めてしまった。それが、下の写真の様子。

それから、先を急ぐため早々に立ち去る僕をお座りして見送っている。モフモフのねこには、名前を考えた。僕の好きな作曲家から取って「ラフマニ・モフ」というのだw モフモフ・ラフマニ・モフ…どうだろうか?(笑

下は、別の日に、神社の境内で昼寝をしていたねこ。僕が呼ぶと、シャッターチャンスのために少しこちらを向いた。眠そうに薄目を開けている。でもまたすぐに、あちらに向き直ってしまったのだった…。


先達て、NHK-FMの番組で、作曲家 吉松隆氏の「鳥は静かに…」という曲が流れていた。

僕はラジオでクラシック音楽を聴くときには、大抵「ながら」である。例えば、英語の勉強(その際は主に単語の暗記や短答の練習問題など)やら、読書やら、このブログの更新やら。または、料理をしていることも。
でも、余りにも音楽に惹きつけられた場合には、手が思わず止まり、両の眼は朧に空を見つめ、意識が耳の方へと集中することになるのだ。「鳥は静かに…」も正にそうであった。これは何と美しい曲だろうか、と感じたのである。

番組では、吉松氏が如何に鳥好きで、音楽は鳥をテーマにしたものが多く、更には鳥と音楽についてエッセイを書いて本にしたこともある、と紹介していた。正真正銘の、鳥愛好家といったところであろうか。

「鳥は静かに…」の曲調は、典型的と言ってもいいくらいのポストクラシカルで、例によって弦楽のアルペジオがゆっくりと進行してゆきながら、上の音域では主旋律がレガートで奏でられる、というもの。
本当に、ただそれだけのことなのかも知れないのに、嗚呼なんとまあ麗しいことか…と思わず溜息が出るほどなのだ。

上にリンクした動画は、同時進行でスコアが表示されるものを選んだ。
他の動画でもそうだけれども、日本語を含む様々な言語で「美しい」のコメントが頻りである。この曲が収録されたCD(何故か輸入盤のみ)のレビューでも同様。皆さん、やはり同じ感想をお持ちなのだ。

…ということは、やや大仰に言えば、吉松隆氏は人類に遍く全て感じられると言ってもいい、スイートスポットのような美意識をくすぐることに成功したのかも知れない。これは凄いことである。
しかしまあ、そんな理屈はさておき、とにかく聴いてみて欲しい。もし出来れば、スマホ等の内蔵スピーカーではなく、イヤホンかヘッドホンで…。

さて、「鳥は静かに…」が収録されているCDを買った。このCDは、その目当ての弦楽曲もやはり美しいけれども、メインの曲目として収録されているピアノ協奏曲「Memo Flora」も素晴らしい。

吉松隆氏の手によると思しき英文ライナーノーツを読むと、「Memo Flora」とは「Memorandum on Flowers」のことだという。それをきっと、ラテン語化っぽくしたのかも知れない。
多分、花に関しての覚え書き、といった意味だろう。1楽章から3楽章まで其々、「Flower」(花)、「Petals」(花弁)、「Bloom」(開花)という題名が付いている。

音楽の系譜としては、ドビュッシーのような印象派の音楽が日本に輸入され、例えば武満徹といったような作風がその翻訳によって生まれたとすると、更にその日本的な意味での遠い延長線上にあるように思う。僕は、あのフランスの印象派音楽を、水と光と花の音楽だと感じていつも聴いている。ドビュッシーだけでなく、ラヴェルも、である。

吉松隆氏の描く、この弦楽とピアノの音には、どうもそれらと同じ芳しさが立ち上って聴こえて来るのだ。そんな美しさが溢れているピアノ協奏曲なのだと思う。

更にライナーノーツを読み進めると「鳥は静かに…」の解説で吉松氏は、この曲はあるアマチュアのアンサンブルからの委嘱作品として作曲したのだけれどもキャンセルになってしまい曲だけが残された、と書いている。
こんな良い曲を反故にするなんて、酷い話もあるものだと思った。でも曲は、こうして英国でCDに収録されて埋もれずに済んだ。幸いなことである…。

それから、後日、図書館で吉松隆氏の自叙伝的な著書、『作曲は鳥のごとく』を借りた。

ハードカバー本の表紙を開くと「はじめに…」とあり、そのおしまいの方には「歪な卵から祝福されずに生まれた鳥が、なぜ音楽の世界を生き延びたのか」「これから記す一羽の『はぐれ鳥』の夢の飛跡が、音楽の不思議を読み解くささやかな端緒にでもなれば」と、したためられている。
氏は自らをも鳥に擬えておられるのだ。筋金入りの鳥好きのようである。これは読み進めるのが楽しみになった。

さて、この本には、吉松氏の高校時代のエピソードに武満徹との出会いが書かれていた。慶應高校在学中に現代音楽を聴き始めて、武満徹の曲に惹かれたのだそうだ。
そして、ある日、演奏会場のロビーに佇む武満氏からサインを書いて貰ったということも述べられている。あと、高校の音楽室からスコアをたくさん貰って帰って読んだとも。やはり、武満徹からの音楽的な影響があるのだろう、と思う。

さてさて、その吉松隆氏だけれども、NHK-FMのクラシック音楽番組「かけるクラシック」にゲスト出演されるそうなのである。何と、タイムリーなことだろうかw 放送予定は、来週の日曜日(5月30日 午後2時から)である。実に楽しみだ…。

……
上の投稿では書き切れなかったのですが、このCDは最後の方に収められている「White landscapes」という曲も大変に素晴らしいのです。流石、締めくくりとして収録されているだけあって、僕は何処かホッとするような感触に浸ります。吉松隆氏は、NHK-FMの番組でクラシック音楽の解説者として登場されていたときには、お声をよく耳にしていましたが、CDを買って聴くのは今回が初めてでした。これからも、吉松氏の音楽を色々と聴いていってみようと思っています…。

『Yoshimatsu: Piano Concerto』
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