疫病の災禍の中、旧友から再び手紙が届いた。いつも、どうも有難う…

植物・動物(ねこ以外)

先週のある日、いつもの様に都内の会社へ出勤した。生憎の雨降りだったけれども、インターネットという社会インフラを維持するためのお仕事に行くのである…。
昨今は通信量過多につき、ネットは何処でも彼処でも重くなっている傾向にある。「最近、インターネットが遅いなあ」と感じておられるであろう皆さんのお宅だけの現象ではないので、どうかご安心を(?)…。

さて、トップの写真はGW前の土曜日に撮った、燦々たる陽光に透過する並木の花である。出勤途上に撮影し、そのままカメラの中で眠っていた一枚だ。モクレン科の樹木だとは思うのだけれども、よく分からない。

僕は、地球のことを実に狭く小さく見窄らしい星だと常々思っている。
時折、こうして可憐であるものや美しいもの、場所によっては雄大に感じられる景色などを見せてくれるのは、この星が自らの見窄らしさを糊塗するためであろう、と解釈しているのだ。つまり、人間は至極単純なので、見た目によってすぐに騙されてしまうのであるw

本当に雄大であるのは地球外の景色、つまり大宇宙だ。謂わば無限とも言える空間である。あともうひとつ、人の内面に存するイマジネーションだ。これも無限大の一種である。


さて過日、大学時代の友人であるOさんから手紙が届いた。僕は今年の初め、坂本龍一キョージュの5枚組CDと一緒に手紙を送った。その返信というわけである。
僕たちはこうして年に数度の遣り取りをもう、25年以上も続けているのだ。そんなに長い期間であるとは余り感じてはいないのだけれども…。

ワープロ打ちされた全5枚の内、初めの1枚余りは近況報告やCDの感想だ。
Oさんはクラシック音楽に造詣が深いので、キョージュのある曲については「フランス近代の作曲家が作ったとしか思えない音楽で、もう脱帽もの」という率直なコメントが書かれていた。僕も、それは同感である。

それから先は、2枚を丸々割いて、今般の疫病へと話が移っていった。Oさんは、大学では西洋哲学の専攻だった。欧米の文学も好んでいる。
従って、新型コロナのパンデミックからカミュの『ペスト』へ、それから実存主義哲学へと論は展開していく。文体はいつもの様に、非常に整理されているので、視線を戻すことなく一気に読み進めることが出来る。

そして、最後の方では、僕が作品を投稿しているサイトである「ショートショートガーデン」について。
つまり、僕のショートショート作品の感想だ。やはりと言うべきか、Oさんはイエス・キリストを主人公にした連作に触れていた。ここでも、新型コロナと絡めて書いている。

改めて眺めてみると、全5枚の6割に当たる3枚を、この世界的な伝染病のために紙幅を割いているのだ。きっと、ひとつの事柄にこれほど多くを書いているのは初めてだろうと思う。Oさんにとっても看過できない大きな出来事だというのが、よく理解できるのである。
さて、僕はこの返事を多分、夏が始まる頃に書くだろう。世界は、まだ今と殆ど何も変わってはいないのかも知れない。それは、人類にとっては、良い面でもあり非常に悪い側面でもあり、いずれでも在るのだろうと思う。

物事は何であれ、いつもふたつ以上のアスペクトから出来ている。場合によっては多面体だ。一旦、光がそこに入るとプリズムの様に様々な光線を解き放つ。我々は、その眩暈の中でひとつひとつの事象を適切に識別できるのだろうか…?


さてさて、その「ショートショートガーデン」だけれども、先日そのトップページを見たところ、「おすすめ」欄の先頭に、何と僕の作品が選ばれていた。下のスクリーンショットをご覧あれ。

それから、少し下の方を見ると、更にもうひとつ、別の作品が取り上げられていた。この「おすすめ」欄は定期的に更新されるようだけれども、僕のショートショートが取り上げられるのは初めてのことだ。

「ショートショートガーデン」には、目下のところ2万以上もの作品が投稿され収められている。トップページの「おすすめ」欄に選ばれるのは、一回につき26作品だけ。そのたったの26の枠に2つも選ばれたのは、大変光栄なことだと思う。
どなたが選んで下さったのか、よく知らないけれども、とても有難いことだと感じている。感謝いたしております…。

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今年は、なかなか映画を観に行くのもままならないのですが、これまでに観た数少ない作品の中でも断トツに面白かったのが、周防正行監督の『カツベン!』です。これが来月、DVDで発売されることになりました。本当はBlu-rayで観てみたいと思うのですが、きっと何らかの事情があるのでしょう。今のところはDVDのみのリリースのようです。
でもまあ、何にせよ、あの抱腹絶倒、最後にはしみじみの名作が家で何度も鑑賞できるというのは嬉しいことです。今般の疫病による憂鬱な気分を少しの間だけ忘れて、おうちで皆さん揃って楽しい作品を観るというのも良いものかも知れません…。

『カツベン!』(DVD)
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