「東海林修フェスティバル」で『さよなら銀河鉄道999』の音楽を聴き、そして…(その3)

お出かけ

(その1とその2は、それぞれ、こちらと、こちら)

昨年の4月に続き、今年もまた、僕は『さよなら銀河鉄道999』の音楽会に足を運ぶことが出来た。今回も、作曲者の東海林修先生にお目にかかることが出来る。加えて、もうひとりのビッグなゲスト、原作者の松本零士先生もいらっしゃったのである。

松本先生のご来場の瞬間に居合わせることが出来て、僕はもうすっかり夢見ごごちのようになった。興奮してソワソワしていただろう、と思う。そんな気分で席に戻った。

トップの写真は、開演前にその座席から撮った。まだステージ上に人の姿はない。最前列に座ったので、このようなアングルだ。右隣には、女性数名の団体さんが座っていた。
その方たちは、「みなさんと一緒に『ディスコ・キッド』を演奏しましょう」という企画のために楽器を持参したそうである。折りたたみの譜面台も組み立てて、用意している。その内のひとりが、僕に「何か楽器をなさるのですか?」と話しかけてきた。

そこで、僕は「仕事でゲーム音楽の作曲をやっていたことがありました」とか「シンセサイザーを使っています」などと答えた。それを聞いて、へえーと感心しておられたようだったので、僕は「でもまあ、昔のことですよ…」とも付け加えておいたのである。
その方は、後程の「みなさんと一緒に『ディスコ・キッド』」のときに、クラリネットを取り出して演奏していたので、吹奏楽を通じて東海林修先生のファンとなったのであろう。僕は、シンセサイザーや劇伴を通じてのファンである。東海林ファンも、こうして色々なのだ。

そのようなことを考えていると、通路を挟んだ左側の席の方で、人影が見えた。東海林修先生がいらっしゃったのである。今まさに、関係者席に座らんとするところであった。
昨年に続いて、チャンス到来だ。僕は、すぐに近寄っては申し訳ないと思い。1~2分待ってから、東海林先生の右にそっと跪坐いた。手には、サインペンと最新作のCD『星の王子さま』を持っている。

「あの…東海林先生。昨年、CDにサインを書いていただいた者ですが…」と切り出すと、先生は、「ああ…」と思い出したように、頷かれた。とても有り難いことに、僕のことを覚えていて下さったようなのである。
「また今年もお願いできれば、と思いまして…」とCDのブックレットを差し出すと、先生は「サインは、英語が良いですか?漢字が良いですか?」と、僕に尋ねてこられた。

僕は、それを聞いて、あっなるほど…と思ったのである。松本零士先生がサインを書かれたレコードには、東海林先生のサインが既に入っていたのを覚えていた。下の写真のように、漢字で書かれていたのだ。
ちなみに、僕が昨年書いて貰ったサインは英語だった。僕は内心、「今度は漢字で書いて貰えたらなあ」と感じていたところだったのである。


(前回も載せたレコードの写真を、参考として再掲載)

そんな思いが通じたようで、実に嬉しかった。僕は、確信をもって「漢字でお願いします」と答えた。すると、東海林先生は「そうか。漢字は、感じが良いからねえー」と冗談を仰りつつ書いて下さったのである。
このサインを書いていただいた後、マネージャーと思しき女性も座席に来られた。昨年は、この方に、東海林先生と僕とのツーショット写真のシャッターを押していただいたのだ。しかも、この方の提案で。

先生同様に、やはり僕のことを覚えていて下さったのだろう。僕の方へニコニコと近づいてきたので、「昨年は、どうも有難うございました」と、僕は立ち上がって挨拶を述べ、お互いにペコペコと頭を下げた。これまた、実に有難いことである。
こうして、僕の手元にある、東海林修先生のサインは、英語のものと、漢字のものの、2種類となった。いずれも、サインを書いて頂いた場所に、ある特徴が見て取れる。お気づきになるだろうか?

昨年、僕はCD(『さよなら銀河鉄道999』のシンセサイザー・ファンタジー版)を差し出すときに、松本零士先生がデザインされたメーテルの絵が描いてある方を上にしてお渡しした。すると、東海林先生は、それを裏返して、「こちらに書きますね」とサインされたのである。
今年は、CD『星の王子さま』のブックレットのおもて面に書いて下さった。その際にも、余白を指して「ここで良いですか」と確認し、慎重に書かれていたようである。それが、上の写真からも伺えるだろう、と思う。特に「修」の文字が、やや縦長になっているのだ。

これは、いずれも、ご自分の筆跡がイラストに被らないように、という東海林先生のご配慮が働いているからであろう、と僕は拝察する。実は昨年から、僕はそう感じていたのだけれども、今年それが確信になったのである。
有り体な表現になってしまうけれども、実にお優しい方だと、僕はこれを見て思う。他のクリエイターの作った作品をきちんと尊重され、大切にされる。そういった姿勢が、サインの書き方に良く現れていると感じられるのだ。

そして、開演のまさに2~3分くらい前だったろうか、松本零士先生が、東海林修先生の左隣の方へ、着席された。男性マネージャーと一緒である。また僕は、1分ほど待ってから、『銀河鉄道999 パーフェクトブック』とペンを持って近づいたのである。
その本の表紙をめくり、扉のページを出しつつ、サインをお願いしてみた。すると、快く応じて下さったのである。開演直前のタイミングだったので、場内の照明が徐々に落とされつつあった。
そんな中でも、松本先生は「暗くなってきましたねえ」と仰りつつも、サッと綺麗にサインを書いて下さったのである。これまた、実に有難いことである。

東海林先生と松本先生のサインは、終演後こうして、ホール内のソファに載せて写真を撮った。早速、SNSのフレンドに向けて投稿するためである。下の写真が、それだ。

両先生から僕がサインを頂いた後も、多くの人がサインや写真を求めて、座席の周りに集まっていた。みんな、色紙やレコード、スマホ等を持っている。この人だかりは、音楽会の前半終了後の休憩時間中も、同様であった。

さて、そのようにして、様々な出来事があった後、いよいよ音楽会が始まったのである。
前半は、東海林修先生の代表作『ディスコ・キッド』と『怪獣のバラード』の吹奏楽版の演奏だ。特に『ディスコ・キッド』は、3つのバージョンが披露される。
そして、後半は、いよいよ『さよなら銀河鉄道999』である。こちらも吹奏楽版。僕は、昨年も、この曲を吹奏楽版で聴いたのだけれども、フルオーケストラ版とはまるで遜色のない演奏に、(東海林先生も!僕も)感嘆したものだった。今回も期待である。

楽団員がステージ上に揃い、指揮者の長野雄行さんが登場した。昨年も、この方の指揮だったのである。非常に有能な指揮者であると、お見受けする。前回と今回とでは、楽団員の構成がだいぶ違う。今回は、多くの公募メンバーが加わっているからだ。

それやこれやで、僕の胸は否応にも高まる。いよいよ演奏が、始まった…。(その4に、つづく)

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僕が今回、東海林修先生にサインを書いて頂いたCDは、これ。サン=テグジュペリ作『星の王子さま』のイメージアルバムです。ファンタジックであり、また時にジャズっぽくもあり、優しくほのぼのとする曲調で、とても和みます。休日のひとときに、特にお勧め。

東海林 修・作編曲『星の王子さま イメージアルバム(Le Petit Prince) 』
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